権力世界。「城塞/司馬遼太郎」より

ちょっとブレイク(独り言)
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引用文

勘兵衛のような小諜者が大諜者を失脚させて、大野修理をこの城の名実兼ねた大将にしようというのはじつにおもしろそうだが、どうもこれは筋ということを考えると筋は通らぬ。しかしどうせ淀殿のうその権勢でできあがったこの城の権力世界はいわばまぼろしの世界で、筋の通るような、つまり実のあることは一つも存在しないのである。

(さればなにしようとおれの自由ではあるまいか)

と、勘兵衛はそれを思うと楽しくなる。

解説

時は豊臣vs徳川の大阪の陣。

勘兵衛:徳川家から豊臣家へ送られたスパイ。武将、小幡勘兵衛。

大野修理:いまも落とされようとしている大阪城を実際に仕切っている。淀殿に頭が上がらない。

淀殿:豊臣秀頼の実母。豊臣秀吉の側室。政治も戦も分からない大阪城のぬし。部下の諫言をまったく聞き入れない。

勘兵衛という外部の目から見た大阪城内は組織的にすでに腐りきっており、勘兵衛自身この城を乗っ取ってしまえとさえ思うほどの惨状を表してる。

組織は大きくなればなるほど、このような権力社会(権力だけが正しく、どんな理路整然とした理屈も通らない社会)
になってしまい、いまの日本の大企業にもいえることではないかと思われる。

自分が注目したのは勘兵衛の

(さればなにしようとおれの自由ではあるまいか)

という言葉であり。いまの自分も腐りきった会社で自由にやっていいのでは?とさえ思えるちょっと小気味いいフレーズが気に入った。

ちなみにのちにこのスパイ勘兵衛はいろいろ思うことがあったがスパイ任務を完了させ。大坂の陣のあとは徳川家に戻り、のちに兵学「甲陽軍艦」を執筆したとされる。

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