連載「金利に振り回されない米国株投資」第1回:金利が上がると、なぜ債券が下がる?国債の仕組みを100円で考える

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連載「金利に振り回されない米国株投資」|第1回/全6回

金利が上がると、すでに持っている債券の値段は下がりやすくなります。ただし、値段が下がったからといって、約束された利息まで減るわけではありません。

キートンです。最近、金利のニュースを見るたびに『債券が売られた』『利回りが上がった』という言葉が出てきます。上がったのか、下がったのか。最初は混乱しますよね。

私は、ここを理解すると、米国債だけでなく米国株のニュースもかなり読みやすくなると思っています。今回から全6回で、金利、債券、株、そしてAI相場の見方を整理します。まずは100円で考えてみます。

国債は、国にお金を貸す約束

国債を買うのは、国にお金を貸すことです。通常の固定利付国債なら、国は決まった利息を払い、満期に額面のお金を返します。

説明のために、額面100円、毎年4円の利息がもらえる債券を100円で買ったとします。ここでは年1回払いの単純なモデルです。

この債券の利息は毎年4円です。市場の金利が変わっても、この約束自体は変わりません。

ところが、その後に同じような条件で毎年5円もらえる新しい債券が登場したら、どうでしょう。どちらも100円なら、5円もらえる方を選びたくなります。

古い4円の債券を売りたい人は、買ってもらうために値段を下げる必要があります。これが、金利上昇で債券価格が下がる基本的な理由です。

『利息』と『利回り』は別のもの

利息は、契約で決まる受取額です。利回りは、いくらで買い、どれだけ受け取るかで変わります。

例えば毎年4円の利息をもらう債券を80円で買うと、4÷80=5%。これは購入価格に対する利息の割合です。

ただし、ニュースで見る国債利回りには、通常、満期に額面が返ってくることも含まれます。80円で買って満期に100円が戻るなら、その20円の差も重要です。したがって、『利息÷購入価格』だけでは満期までの利回りを表し切れません。

残り10年、毎年4円の利息、満期に100円が戻る債券について、市場が年5%の利回りを求めるなら、理論価格は約92.28円になります。80円という例と、この92.28円は目的の違う計算です。

満期まで持つ場合と、途中で売る場合

ここが私にとって大事な分かれ目です。

満期まで持つ場合と途中で売る場合の違いをやさしく説明する図
満期まで持つ場合と途中で売る場合では、気にするポイントが変わります。
持ち方 何を気にするか
満期まで持つ 利息、額面の返済、信用リスク、インフレ
途中で売る その時の市場価格、売買条件、金利変動
円に戻す 上記に加えて為替と費用

発行体が約束を守れば、満期には額面が戻ります。しかし、途中で売るなら、その時の値段で売ることになります。100円で買って92円で売れば、利息を別にすると8円の損です。

額面より高く買った場合、満期に戻るのは買値ではなく額面です。また、米国債はドルで返ってきます。ドルでは額面が戻っても、円高になれば円で見た金額が減ることがあります。

私は『国債は安全だから、いつ売っても損をしない』とは考えません。信用の安全性と、価格や為替の変動は別の話だからです。

100円を30年、年4.2%で運用したら?

ここも勘違いしやすいところです。額面100円、年4.2%の固定利息なら、年間の利息は4.2円。30年分は126円です。利息を再投資せず、そのまま保管しておけば、元本100円と合わせて226円になります。

『償還日に226円が一度に振り込まれる』という意味ではありません。利息は途中で受け取り、償還日に戻る元本は100円です。実際の米国の20年・30年国債は半年ごとに利息を払います。

一方、利息も毎年4.2%で再投資できると仮定すると、100×1.042の30乗で、約343.58円です。

100円を30年年4.2%で運用する再投資ありとなしの比較図
利息を再投資しない場合と、毎年4.2%で再投資できた場合の計算例です。

ただし、将来も同じ金利で再投資できるとは限りません。この343.58円は、税金・費用・為替を除いた、年1回複利の計算例です。普通の利付国債を買えば、自動的にこの金額になるわけではありません。

私は『使う時期』から考えます

2026年10月2日の米財務省の公表値では、米10年国債の利回りは5.28%でした。これは市場の指標であり、私たちが買う個別の債券の利息や購入利回りと必ず一致するわけではありません。

高い数字を見ると魅力的に感じます。それでも、来月使うかもしれないお金と、10年間使わないお金では選び方が変わります。

私はまず『このお金を、いつ、何に使うのか』を考えます。利回りは、その後に比べます。次回は、同じ金利上昇でも、アメリカと日本では何が違うのかを考えます。

参考・注釈

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